2011年06月19日

ユルさ漂う正統派キャラクターソング、「GO! GO! 開運かなえちゃん」~岩手県盛岡市~

私が興味を持つ音楽の分野に「企業や団体などのCMソング、イメージソング」というのがあります。

企業や商品の広報目的で作られたこれらの楽曲は、会社名や商品名を歌詞に含めたもの、企業名や商品名には直接言及していないけれども、それらのイメージを思い起こす歌詞が含まれるもの、歌なしのインストで企業や商品をイメージをさせるものなど多岐にわたります。

また、企業のイメージアップや商品の販売促進を目的とすることから、楽曲の制作には相当な配慮が必要になります。歌詞・メロディを含め短時間でインパクトのあるフレーズを作るところに音楽家のスキルやセンスが求められます。さらに奇をてらった前衛的作品よりも、幅広い層に受け入れられる最大公約数的な作品でなければならないという、作り手にとってはとても制限事項の多い分野といえます。

その分、あらゆる音楽ジャンルや作曲・編曲手法が1曲の中に凝縮されているので、これらの楽曲を聴き続けるとたまに「お宝」に出会うことがあります。そんな「お宝」を探すのも旅の楽しみです。


さて本題。盛岡に立ち寄り宿泊したホテルのレストランで朝食を摂りながら地域情報に強い「岩手日報」を読んでいたところ、「駅前商店街を歌で元気に 盛岡で女性2人組がCD発表(2011.06.16)」という見出しを発見しました。これは私の興味が強くそそられる記事です。さっそく開運橋を渡り、駅前にやってまいりました。

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抜けるような青空。開運橋から望む岩手山がとても美しい。観光写真でよく出てくる定番アングルです。

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こちらが今回入手したCD、「GO! GO! 開運かなえちゃん」。リリースされた100枚のうちの1枚で価格は1000円也。2曲目は「開運かなえちゃん音頭」でそれぞれカラオケ付きです。「音頭」が入るのはこの分野の「お約束」です。

ジャケット、CDレーベルともにインクジェットプリンターで印刷したであろう手作り感あふれる構成です。「商店街アイドル」こと「スマイル娘」の中央に立つキャラクターが「開運かなえちゃん」。なかなかのユルさを醸し出していますね。2010年に誕生したキャラクターで、全国の公募から松戸市在住の61歳主婦の作品が選ばれたそうです。着ぐるみにしても無理のないデザインです。なお、ジャケットの背景に映る開運橋は、駅前商店街から南東方向に見たアングル。

2曲とも作詞・作曲は地元のシンガーソングライター、七瀬龍一さん。IBC岩手放送ラジオ、FM岩手にレギュラー番組を持ち、県内イベントのイメージソングなどを次々に送り出しています。今秋までradikoで各放送局の番組を聴くことができます。優しそうな声をしている方です。

ボーカルは「スマイル娘」のおふたりでそれぞれ「アーちゃん」と「ミーちゃん」の愛称がついています。笑顔でお客さまをお迎えしようと盛岡駅前商店街振興組合では接客力アップに向けた活動を続けていますが、「スマイル娘」の選定やイメージソングのリリースもその一環です。


それでは実際に聴いてみましょう。
いい感じのユルさが出たポップです。商店街のイメージというよりはむしろ「開運かなえちゃん」のイメージを前面に出したキャラクターソングに仕上がっている印象です。過剰に奇をてらわない正統派です。「史上最強のリトルフェアリー」というくだりが個人的にツボです。あれだけの重いアーチを頭に載せていたら、たしかに史上最強かもしれませんね。この音楽をバックに「開運かなえちゃん」が盛岡駅から商店街を一巡し、開運橋に向かって空を飛ぶようなアニメーション映像をつけると結構いけるのではないでしょうか。

歌詞カードを見開くと、2曲目の「開運かなえちゃん音頭」の振付けが細かく書かれています。「踊り:ガッツポーズをして軽く膝を曲げる」はみんなで踊ったら結構インパクトがあると察します。


こちらがYouTubeにアップされた「開運かなえちゃん音頭」の振り付け。

→続きをどうぞ
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2011年01月23日

そこはかとなく懐かしい「あなたにアクセス」

 以前、岩手県庁の広聴広報課がtwitter上で「岩手の好きなものは何か?」というアンケートを訊いてきたときに、「それは音楽です。思えば私の琴線に触れるメロディーや歌詞を作られている方はみなさん岩手出身、在住の方でした」と私は答えました。

 約20年前に初めて遠野を訪れたとき、とある宿で聴いた「遠野物語」という曲がとても印象深く、「歌っているのは誰?」、「CDはどこ?」と探し回った覚えがあります。インターネットのない時代、あんべ光俊さんの曲だと知るまでに1年かかりました。

 以降、地元のミュージシャンが作る音楽に出会うことが旅の楽しみのひとつになりました。地酒や地ビールならぬ「地音楽」…民謡とはまた異なる"現代の風景"をこれらに見出すことができるのではないでしょうか。


 さて、本題。
数年前の秋、盛岡へ出かけたときにホテルのテレビから流れてきた曲にピンときたものがありました。それはIBC岩手放送のテレビ番組、「じゃじゃじゃTV」のオープニングテーマです。土曜の朝、宿の窓から青く高い空を眺めながら「きょうはどこを回ろうか」とプランを練っていたときに耳に入った軽快なメロディーと歌声。楽しい一日が始まる気分がしてきました。

 このときもやはり気になったのが「作曲は誰?」、「歌っているのは誰?」でした。
当現代風景研究会の調査網を通じて分かったのは「作曲は『せんせいしょん』の佐藤将展さん、歌は佐々木由香利さん」ということでした。

 その佐々木さんが最近シングル盤を出したとのことでさっそく入手。
曲名は「あなたにアクセス」(商品番号PICM-201002、作曲:松永顕司、作詞:仲邑かおる、編曲:佐藤将展)です。握るマイクはダイナミックマイクの銘品、SHUREのSM58ですね。

あなたにアクセスCDジャケット

 NTT DoCoMo「iコンシェル」でIBC岩手放送が地域情報を提供するコンテンツサービス「IBC iコンシェル」のイメージソングとして作られたものです。このページを見ると、実際にこの作品が放送でどのように使われているかがわかりますが、作られた背景を知らなくてもじゅうぶんに楽しめる作品です。
再生した瞬間、「おおっ、じゃじゃじゃTVのあの声が!」とちょっと感動。

 80年代に一世を風靡したフュージョングループ「shakatak(シャカタク)」の作品を彷彿とさせ、スタイリッシュなのだけれども、そこはかとなく懐かしさを感じるところがフュージョン好きな私にとってのツボだったりします。

 アレンジバージョン2曲も収録されており、特にピアノVer.のアレンジが気に入っています。

→関連サイト:
 ├佐々木由香利さんオフィシャルサイト
 ├MySpaceで視聴
 ├佐々木由香利さんのBlog(Saraswati YUKARI's blog)
 └弊サイトが紹介されました

→余談はこちら
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2010年06月15日

2010.06.15 北上展勝地で 「わんこきょうだい 〜いぬではございません〜」 を買う。

※ わんこきょうだい は財団法人岩手県観光協会の登録商標
、だそうです。


お昼の新幹線で埼玉を発ち、どういうわけだか、北上に降りました。
桜の名所として名高い展勝地もオフシーズンで平日とくれば人もまばら。

喉が乾いたのでなにか飲もうとレストハウスをのぞいてみると、いきなりお宝発見。
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アンダーパス!さんの新曲、「わんこきょうだい ~いぬではございません~(UPMM-0007)」のCD が。すかさず購入。

緩急のある歯切れのいいメロディーとリズムに乗って、県内各地の名所や名物が方言もまじえて歌詞に散りばめられており、とても愉しいです。昨年話題を呼んだ「たらりら」が例えば「盛岡市内のお散歩コース」といった地域を限定したミクロ的な歌詞なのに対して、「わんこきょうだい」はかなり広域です。広い岩手県をうまくカバーしているようにも思われます(→関連ページ)。
Cメロディーの歌詞をトチることなくさらりと歌えればクラスの人気者になることでしょう。

一方、7月から始まる岩手県の観光キャンペーンにあわせて作られた「わんこきょうだいのうた(作詞・作曲:いわて・平泉観光キャンペーン実行委員会 編曲・補作曲: 佐藤将展)」という作品もあります。前者「わんこきょうだい」とタイトルが非常に似ていますが、別物です。(→関連サイト:銀河プラザのblog歌詞・視聴はこちら

機会があれば両方聞いてみて、それぞれのメロディー、歌詞に盛り込まれたメッセージの違いを楽しんでみると面白いかと思います。

「~いぬではございま~」は観光地等の具体性に見られるアーティストの郷土愛と子ども目線を裏切らないほのぼのさと暖かさが感じられ、「~のうた」はIBC岩手放送でバラエティー番組が始まりそうな「将展節」のスピードを感じるイントロと、マスコットイメージを前面に出したキャラクターソング風に仕上がっているのが特色です。

甲乙つけようかと悩みましたが、こんな聴き方はいかがでしょうか。
これから岩手県を旅してみようかな、というときは「わんこきょうだいのうた」を聴いてそのスピード感で新幹線や高速道路に飛び乗ってもらい、現地に着いたら「わんこきょうだい ~いぬではございません~」を聴きながら岩手の土を一歩一歩踏みしめてゆっくり巡ればきっと思い出深い旅になることでしょう。
→またまた余談です
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