かつて鉄道会社が作るグッズといえば、記念入場券・乗車券、輪切りにしたレールなど主に鉄道趣味者を対象にした有価証券・部品類がほとんどでした。
しかし近年では、車両や駅名をモチーフにしたキャラクターが作られたり、それに関連する文具類、アクセサリー類、あるいは食品類が作られるなど、幅広い客層にも興味を持つことのできる商品が増えています。
さて現在。全線開通に向けて鋭意復旧工事を進めている三陸鉄道は、震災前からグッズ類の開発販売に積極的です。大手玩具メーカーとのタイアップ、地元企業とのコラボレーションで話題性の高い商品を次々と生み出しています。これらはインターネットを介して全国から通販購入することもでき、運賃収入以外での営業収入の一助になっていると言われています。
そんな「三鉄グッズ」の中において、とりわけ個人的な興味を引いたのが、今回ご紹介する「さんてつのうた♪」(商品番号:UPMM-1003)です。
6月中旬、宮古へ行った際に入手したのはこちら。
「さんてつのうた♪」は、北リアス線・南リアス線全線の駅名を歌詞に盛り込んだ作品です。
作詞・作曲は岩手県内に活動拠点を持つアコースティック・ユニット「underpath!(アンダーパス!)」が手がけています。
underpath!は岩手にちなんだ作品を数多く作り、幅広い年齢層に支持されています。
画像は2012年デスティネーションキャンペーンの間、盛岡駅新幹線改札口前に掲げられた「みんなでつぶやく いわての魅力!」と題するボード。地元在住の方が自ら語る岩手県のおすすめの中にユニット名とその作品が紹介されるほどの浸透ぶりです。
ちなみに編曲は元「姫神せんせいしょん」のメンバー、佐藤将展さんです。
ジャケットのイラストは、同じく県内で活躍されていて岩手県観光キャラクター「わんこきょうだい(R)」を手がけたグラフィックデザイナー、オガサワラユウダイさんによるものです。相変わらずかわいいキャラクターには「さっちん」、「てっちん」という名前が付いていています。ジャケット裏にはちょっとしたストーリーが書かれているので、ぜひご覧いただければと思います。
同時にクリアファイルと缶バッチのCD発売記念グッズも発売されていて、こちらも併せて揃えたいところ。
さらに入場券を買ってしまうところは、鉄道趣味者の宿命と申しましょうか…。
作品を聴くと、駅名を歌う部分で驚きを覚えます。歌詞カードを見て自分も歌ってみましたが、みごとにトチりました。「くじりくちゅううべりくちゅうのだのだたまがわほりないしらいかいがんふだいたのはた…」まるで何かのおまじないを唱えるかのように、メロディーもそれっぽく仕上がっています。これは Three Dog Night の "The Show Must Go On" のイントロ…おっと。
2010年にリリースされた同ミュージシャンの作品「わんこきょうだい〜いぬではございません〜」も早口で歌う部分が話題になりましたが、「さんてつのうた♪」はさらに難易度は高くなっています。こうした歌詞ほど子どもたちは覚えたがるもので、子どもたちの興味を示すツボをしっかり押さえているなと感じます。
ちなみに歌うときのコツは「くじりくちゅううべ りくちゅうのだのだ たまがわほりない しらいかいがん…」と駅名を意識するよりもメロディーを意識することです。
けれどもワンコーラスの締めは、潮風を浴びながらひたむきに走る列車の姿を思い起こす行進曲チックなリズムとメロディーで限りなく前向き。不思議と元気の湧いてくる作品です。三陸鉄道の総延長をもじって「107.6キロのマーチ」ということばが頭に浮かんできます。
「ガタンガタン ゴトンゴトン」という歌詞部分で使われる音色が車輪がレールの継ぎ目部分を通るときに発する金属音の余韻を連想させるなど、インストのみを聴いてもじゅうぶん楽しめます。
<データ>
商品と内容
・「さんてつのうた♪」CD(UPMM-1003)
路線の全駅を歌詞に盛り込んだ歌。
難易度が高いけれど、挑戦してみたくなる早口の駅名。
・「さんてつのうた♪」CD発売記念グッズ
クリアーファイル&缶バッチ
制作者
・作詞作曲:MIKA (underpath!)
・編曲:佐藤将展
・演奏:underpath! と CEMT
・キャラクターデザイン:オガサワラユウダイ
・制作:Take4 Promotion
関連サイト
→三陸鉄道
└三陸鉄道オンラインショップ