全国の
盛岡バスセンターファンのみなさま、こんにちは。
2010.06.15-18 北上・花巻・遠野・盛岡へ(Twitterまとめ)で盛岡バスセンターを取り上げ、さらに画像を追加アップしてこの記事を書いたのは2010年。それ以来、すっかりファンになってしまったようで盛岡に出かけるたびにバスセンターを訪れています。
さらに2014年6月に未収録画像を含めて増補改訂を行ない、ファンのみなさまがよりお楽しみいただけるよう記事を編集いたしました。
(過去に撮影した動画を再生リストにまとめました。なお、銭掛行は2012年3月をもって廃止されました)バスセンターは中の橋を渡り中三デパート(現・ななっく)の斜向かいにあります。
自動車ターミナル法に基づいて設置された日本初の一般バスターミナルで、開設は1960年(昭和35年)4月。
特急「はつかり」号がキハ80系列ディーゼルカーで運転されるのはその半年後の話です。
中ノ橋通、バスセンター交差点よりバスセンター建物をのぞむ。開設当初は2階建てでしたが、その後3階部分が増築されました。
中の橋通りに面した入口。このドアをくぐると1960年代にタイムスリップします。
施設名称のロゴは洗練されています。建物を含めて一貫したデザイン性を持っていたはずなのですが、後日取り付けられた広告看板もその部分を理解してくれたら…と思います。
すり減ったリノリウム張りの床、ビニール表地のイスに懐かしさが感じられます。
画面右側の階段を見ていたら、
大宮駅東口(埼玉県)の「大一ビル」を思い出してしまいました。
売店「フジワラショップ」。
品揃えの多さにこのバスセンターから出発するバス路線の距離具合が分かります。
ショーケースもさることながら時代を感じさせるのは、商品の陳列方法にあるのではないかと思います。ショーケースの中に「パイの実」や「マリービスケット」の箱を並列にすると、高級感が出てきます。こうした陳列、30年前の映画館の売店で見かけた覚えがあります。
「フジワラショップ」は盛岡市内にある「藤原養蜂場」が経営母体になっており、同養蜂場の製品も陳列されています。「スズメ蜂ウォーター」という瓶入りドリンクは1本600円と高価ですが、一気に飲み干すと旅の疲れが不思議と和らぎます。
キャプションに「昭和56年頃撮影」と書いても十分通用するのは、売店に掲げられた看板。「明治スカット」は1960年代に初頭に発売された明治製菓の清涼飲料水のブランド名。「味乃家」さんは弁当類を販売しており、盛岡の隠れ名物「しょうゆだんご」も買うことができます。
味乃家さん隣の喫茶コーナー。
赤いアクリル板と窓にかかるレースのカーテンがいい雰囲気を出しています。
雑誌やテレビなどでこの売店風景が紹介されることがあり、「明治スカット」や「でん六ミックス」の電照看板にいつも目が行ってしまうのですが、実は売店側の天井近くにも看板があって…
見づらいですが、SONY(ソニー坊や付き)。
旺文社が1960年3月に発刊した日本で2番目のテレビ雑誌「週刊テレビ時代」。
デラックスということばは60年代〜70年代にとても流行りました。
「週刊現代」、「女性自身」
…と看板が続いているのを先日見つけてしまいました。
おそらくバスセンター開設当初から設置されているものと推測されます。
フジワラショップ売店の向い。軽食堂はそば屋さんとラーメン屋さん、喫茶コーナーの横にはたこ焼き屋さんがあります。中長距離バスに乗る前の腹ごしらえといった感じでしょうか。そば屋さんの隣、待合室を挟んだ場所には時計屋さん(吉田時計店)があります。
館内にいると聞こえてくる「お待たせしましたぁ~ ○番線にぃ~ ~行きがぁ~ 発車いたします~」と独特なイントネーションで放送する肉声の館内アナウンスもナイス(ページ内動画参照)。
ちなみに「フルタのチョコレート」のフルタ製菓は大阪が本社でセコイヤチョコレートやチョコエッグなどが主力商品で現在も販売中。一方、「フルヤのキャラメル」の古谷製菓は残念ながら1984年に倒産しています。
アイスキャンデーや珍味まで置いてある盛岡バスセンター。現在が21世紀であることを忘れさせてくれます。
待合室。バスの発車するプラットホームとはアルミサッシで仕切られており、寒い冬場でも暖をとりながらバスを待つことができます。
夏になると「すだれ」が窓側に取り付けられます。
館内には冷房はなく、窓を全開にしたり天井の扇風機を回すことで外気を取り入れています。
2012年頃、藤原養蜂場製品だけを集めた販売コーナーは売店側に集約され、待合室に改造されました。
発着場は頭端式ホーム(上野駅地平ホームのような形状のプラットホーム)。
方面表示板と発車指示灯。バスは駐留所から急旋回してプラットホームに突っ込み入線します。発車の際はバックして構内を出ます。構内の安全確保と通行円滑化のため、センター建物内にある指令室からの発車指示がないとバスは発車できないようになっています。
発車時間になると、バスは戸閉操作ののち、発車指示灯の点灯を確認し、ハザードランプを点灯しながら誘導に従いバック運転を行ないます。
なおWikipediaによると、毎正時(00分)にはラジオの時報を構内に流し、時報に合わせて発車指示ランプを点灯させているとのことです。
発車指示について書かれたボード。
重量のあるバスが繰り返し踏んでいった跡。
アスファルトを盛り直している箇所もあります。
プラットホーム7番線〜8番線そばにある地下通路入口。
おそらく出札口のある事務室へアクセスできるようになっているのではと推測されます。
以前は中ノ橋通に公共地下道が設置され、バスセンター転回場付近とウィズビル(ななっく左隣、現在は解体)付近に階段がありましたが、地上部分の横断歩道設置に伴い2013年頃に閉鎖されました。画像の通路と公共地下道が接続されていたかは今になっては実地調査ができず謎のまま。
転回場から見たバスセンター建物。バスの運行本数に較べて構内の操車容量が限られているのが現状で、構内に入線するバスは中距離線や長距離線が中心です。市内循環線や宮古方面の106急行、郊外線は中ノ橋通沿いなどに設置された停留所(神明町・ななっく前)から発車しています。
夏の風景。
秋の風景。
屋内の出札口。有人窓口が2箇所と自動券売機が2箇所あります。路線バスは整理券方式の運賃後払いですが、構内アナウンスでは「乗車券をお買い求めの上、ご乗車ください」と案内が流れます。
路線図。北は八戸、南は湯田温泉方面まで掲出されています。
夜のバスセンター屋内。運賃表に載っている方面を見るとバス路線網が県内のほとんどの地域をカバーしていることがわかります。廃止された区間もあり、ところどころ紙片で覆い隠されている箇所があります。
売店や軽食堂が閉まり、静まりかえる待合室。夜行列車が深夜に発着する大きな駅の待合室に似た空気が漂います。
バスセンターで見る「東京駅行」の文字は、新幹線のりばで見るそれよりも、はるかに遠く離れた場所という印象。
余談ですが、このバスセンターを題材にして歌を作ったら案外ヒットするかもしれませんね。
〜参考映像〜
IBC岩手放送の公式YouTubeチャンネル「6BOX」で公開された、オープン直後のバスセンターの模様です。
当初の建物が2階建ててあったことがこの記録映像からも分かります。
同社は過去のニュース映像や放送番組を数多く保存していると言われています。
2016年4月、さらに同社の保存映像が公開されました。
オープン当初の館内の様子を記録したとても貴重な映像です。
1階部分には売店等はなく、広々とした待合室がフロアに広がっていました。
出札口のほか改札口が設置されていたことも映像から分かります。
館内の広告看板には「メグロオートバイ」の文字も伺えます。
2階には食堂、喫茶室、理髪店がありました。
ちなみに2階にあった食堂は盛岡八幡宮前のわんこそば店「初駒」が創業当時に営業していたところです。
改訂履歴
2010.06.22 記事投稿
2011.07 補遺
2014.06.29 未公開画像を含めて再編集