2009年、旅先で流れていた歌を耳にしてから、私が強い関心を持つミュージシャンがいます。岩手県を活動拠点にしているアコースティックデュオ、「underpath!(アンダーパス!)」です。
以来、岩手方面へ出かけたときには彼らのCDを見つけて聴き続けています。そのことを岩手在住の方に話すと
「まさか関東の人の口からアンダーパス!という名前を聞くとは思わなかったよ」
と言われるのですが、どの作品を聴いても歌詞、メロディーともに私の琴線に触れてきます。
音楽的には
・男声女声ともにボイスの音域が広く、ハモりが絶妙。
・歌詞に盛り込まれる情報量の多さとそれを歌い上げるリズム感。
・どこか懐かしさのあるメロディーとバッキングの音色。
などに魅力を感じ、歌詞からは
・生まれ育った土地を愛する気持ち
・不撓不屈(ふとうふくつ=どんなことにもくじけない)の意志
そして
・一歩前へ進もうとする気持ちを背中から推し進める、力強く温かい歌声とメロディー
を感じ取ることができます。
2012年5月4日、初の全国発売フルアルバム「ALIVE(UPMM-0008)」がリリースされました。CDのリリースは2010年6月以降1年11ヶ月ぶり、第9作目となります。5月16日からはiTunes MusicStoreなどでネット配信も開始されています。
震災の渦中にあった彼らが見た、聞いた、感じたことをもとに作られた11曲の作品には、さきに触れた3つの要素がより強く感じられます。
あの日から1年目の春です。いろんな人が新たな一歩を踏み出しています。
そんな今こそ、この「ALIVE」を聴いてみてはいかがでしょうか。
私も作品に込められた彼らのメッセージを感じて、次の一歩を力強く踏み出していきたいと考えます。
以下は、アルバムを聴いて自ら感じたことを数回にわたって記していきたいと思います。
☆「日常」という「奇跡」
私が強く興味を持ったのはジャケット写真の裏面。
この写真から読み取れるもの、それは「日常」が奇跡の連続で形づくられている、ということではないかと思います。
ずっと変わらず、あすも同じように続くのものだと思われ、そんな日々に気だるささえも覚える日常…。
しかし、ある日突然、何らかの力によって一瞬にして壊れてしまうと、その脆さと儚さを身を以て知らされます。
家があること、屋根があること、畳があること、茶碗に盛られた暖かく白いご飯が食べられること、自分の大切な人と一緒に過ごせること…ひとつひとつが偶然であり、それが集まるのが奇跡です。
広い宇宙の中に地球があり、そこに生物がいることは「奇跡だな」と感じる方は多いと思います。けれども自分の身近なところにも「奇跡」は存在していると意識して感じることができれば、これからの生き方、過ごし方も変わっていけるのではないかと思います。
このジャケットに映しだされたモチーフは、アルバム内の作品といたるところでつながっています。
そのつながりを見つけていくと作品をよりいっそう感じることができるでしょう。
※関連1
求人情報誌「Workin」のテレビCMは地域ごとにバージョンを変えて出稿しており、音楽には地元で活躍するミュージシャンの作品が使われています。
岩手県エリアではアルバム収録曲「One」をCM用にアレンジして使用しています。
個人的な感想を申し上げれば、CMの映像やナレーションと音楽が最もマッチしているのはこの岩手バージョンだと思います。