道中は心地よい快晴で、外出するには絶好の日和でした。
さて、こちらの画像は盛岡市内を散策中に見つけた喫茶店「ふかくさ」の風景です。
お店のご主人と飼い犬が店先に佇んでいます。
絵になる風景とはこういうことをいうのでしょうか。
こちらは店内。初めて行ったところなのになぜか落ち着く…
サイフォンで淹れたコーヒーをひとくちすすると旅の疲れも忘れます。
カウンター上に掛けてある「夢」の字をよく見ると「ありがとう」の平仮名を組み合わせたものだと発見し、感心。
お店の窓はオープン。心地よい風が店内に入ってきて天然のエアコンです。
窓から見えるのは中津川。川のせせらぎも聞こえてきます。
このお店、地元では以前から結構知られていて、近年ではお店の外観が歌詞に登場するようになりました。
地元のミュージシャン「underpath!(アンダーパス!)」が演奏する「たらりら」という曲を聴いてみるとわかります。
この曲はNHK盛岡放送局のローカル番組、「いわてみんなのうた」で放送されてから地元で話題を呼び、レコード店では特設コーナーも用意されているほか、盛岡駅構内の南改札物産展前や新幹線改札前ではテレビ放送の映像がモニターで流され、旅行客にもPRしています。
また、地域のイベントなどでは「一緒に『たらりら』を歌おう」との触れ込みでミュージシャンが呼ばれると、見に来た子供たちが一緒になって歌うというほほえましい光景が見られるとか。
お店の方曰く、
「ミュージシャンの方が『今度NHKで放送される私たちの歌でこちらのお店が出てきます』と言っていました。
放送されてから子供連れでお店に来るお客さまが増えました」
とのこと。観光で県外から来た私が「たらりら」を知っていることには驚いていたようですが、盛岡駅でエンドレスで流れていた音楽が気になって、それをずっと聴いていたら覚えますよね。
気がついたときには「♪たったり るりら…~」と口ずさんでいました(歌詞はCDなどで聴いてみてください)。
「『アンダーパス』というグループ名は、ミュージシャンが当初、盛岡駅前の地下道で音楽活動をしていたことから来ているそうです」
…なるほど。英語で地下道は「underpass」、グループ名は「underpath」…もう一つ意味がありそうです。真意のほどはいかに?
※FM岩手の放送(現在リンク切れ)によれば、「地下道」と「~の下をくぐっているもの」という意味が込められているとのこと。彼らの作品の底流にあるものはまさに「ふるさと岩手」だと思います。
※余談1
「たらりら」のライナーノーツを見ていたら、編曲者のお名前(佐藤将展さん)に目が留まりました。
佐藤さんは「姫神せんせいしょん(現・せんせいしょん)」の元メンバーで、現在も放送番組テーマ音楽やCM音楽などの制作で活動されています。
1982年頃、当時地元でヒットした「奥の細道」というインスト作品が盛岡駅構内で流された逸話を聞いたことがありますが、27年たったいま、ふたたび駅構内で地元のヒット曲が流れるシーンが見られる…やはり共通点がありましたか。
※余談2
underpath!の作品を聴いてみると、ところどころに地元にちなんだ歌詞が出てくるのが興味深いです。「たらりら」の"中の橋"とか"わんこそば"といったそのものズバリもあれば、「星の中で願いをかけよう」のようにさらりと聴くとラブソングなのだけども、よく聴くとJR北上線の営業キロ(61.1km)や車窓風景を連想できるフレーズが含まれていたりします。
地名や土地の情景といった「素材」を歌詞やメロディーに取り入れると、ときに演歌的で校歌的、あるいはセピア色の写真を見ているようなベタつきや古臭さ(「懐かしさ」ではなく)を生んでしまうおそれがあります。が、彼らの作品には「いま」と「これから」をより表現できるように「素材」が取り入れられていると感じます。ついさっき友人がデジタルカメラで撮ってきた画像がメールで送られ、それを見ているような新鮮さと親近感を作品から感じることができます。
※余談3a
ムダ知識。NHKローカル「いわてみんなのうた」のタイトル映像で流れる音楽はJR品川駅の発車メロディーと同じ。
※余談3b
公式サイトやCDジャケットで使われているユニット名表記のフォントは「ITC Bauhaus Demi」。
※余談4
2009年12月に盛岡商工会議所が実施した「地元学検定『もりけん』」の第4回で、「たらりら」の曲名とアーティスト名を問う問題が出題されました。
"3級 設問28"と1級 設問1に注目(PDF形式)。選択肢が笑えます。
このページをご覧いただいたみなさまならすぐにご解答できたはず。ちなみに1級合格者は1人でした。スペルミスで得点を落とされた方が多数いらした模様。
※余談5
冬限定。夏油高原のトップページに注目(現在リンク切れ)。2月14日には続編「たらりら~きたかみバージョン~(UPMM0006)」が発売され、次は「We love 北上♪」が北上駅構内で流れる希望的観測。
※余談6
2010年2月28日にTOKYO FM系列で放送されたラジオドラマ「あ、安部礼司 第204回」本編で「たらりら」の楽曲の一部分が使用されました。NHKでは過去にデジタルハイビジョン放送で「いわてみんなのうた」が放送されたことがありますが、それ以外でこの曲が全国放送されたのは初めてではないかと思われます。
※余談7
twitterでの反響をまとめてみました。togetter - いわてみんなのうた「たらりら」の話題。
※余談8
「underpath!」と「せんせいしょん」、夢のコラボレーションがYouTubeに。ライブの模様を収録したもので、正確にはゴスペルグループ「シモンズカンパニー」の一員として参加しています。このコラボレーションで一枚CDを作ってくれたらとっても嬉しいです。
ちなみに「尾坪商店・めかぶのうた」や「じゃじゃじゃTV・オープニングテーマ」を歌われている方は、このシモンズカンパニーの所属メンバーです。
※余談9
2010年夏、東京銀座のいわて銀河プラザで「たらりら」と「わんこきょうだい~いぬではございません~」が販売されました。東京都心の一等地でCDの販促ポスターとジャケット画像が見られます。
※余談10
2010年7月、久慈の街を歌った「たらりら~くじバージョン〜(UPMM1001)」がリリース。商品番号が1000番台になっていることに注目。これは発売元を「久慈みなと・夏まつり実行委員会」に設定しているためか。歌詞は岩手日報のサイトで見られます(更新当時)。CDは久慈市内の物産館などで入手可。8月号の久慈市広報が1面トップで伝えています(→PDF形式)。
※余談11
2010年10月、念願の遠野版「たらりら~とおの わらすっこバージョン〜」が発表されました(CD発売時期は未定)。1日に遠野市民ホールで開催された市制5周年式典の第2部では、市内に在住する平成15年生まれの幼稚園・保育園児たち204名がステージに集まり、underpath!のおふたりとともに新作を披露。歌詞もより詩情豊かになっており、思わず泣けてまいりました。
ちなみに当日の演奏曲は「よみがえり」、「大地の唄」、「わんこきょうだい~いぬではございません~」、「たらりら とおの わらすっこバージョン」でした。
披露にあたって、市内の幼稚園・保育園では事前に歌詞が配られ、振り付けとともに園児たちは一生懸命練習したそうです。9月中旬からはunderpath!のおふたりが全箇所を回って歌合わせも行われました。第2部の開演時には子どもたちの「晴れ舞台」を一目見ようと幼稚園・保育園の保護者や家族でホールがいっぱいになっていたのが印象的。また、関係者に配布された缶バッチが好評で、「うちにもひとつ…」とスタッフに頼んでいる市職員さんの姿も見られました。見よ、ブリキ製バケツの上にジンギスカン鍋が載っているところまで描き込んでいる芸の細かさを。
※余談12
2012年4月11日、iTunes Music Storeなどで「たらりら」の配信が始まりました。これでunderpath!さんの楽曲が全世界で購入できるようになりました。配信がスタートした0時過ぎにiPhoneで購入したときの画面はこちら。
一度購入すれば、iCloudを使ってiPhoneだけでなく、MacやiPadなど自分が持っているデバイスに音楽データをダウンロードすることも可能です。なお、購入内容が反映されるまで数時間かかります。ちなみにiPhoneで「たらりら」と入力すると「♪( ´▽`)」という顔文字が変換候補に出てきますが本件とは関係ありません。
※余談13
2012年6月、ふたたび「ふかくさ」を訪れてみました。
初夏の緑がとても美しく映える快晴の日は、オープンテラス席でゆっくりしたいなと思っていました。
中津川のせせらぎがサラウンドで聴こえる中で飲むコーヒーの味は格別です。
世界的に店舗を展開しているコーヒーショップにMacBookを持ち込んで仕事や趣味に費やすことが一部で流行っているそうです。私も喫茶店にノートを持ち込んでBlogを書いたりしますが、「『ふかくさ』のオープンテラスでMacBook Airを広げてみたい」とかねてから思っていました。
…ということで実現。写真だけ見るとヨーロッパあたりのカフェみたく見えますが、まぎれもなく日本岩手県です。
この日、看板犬でボーダー・コリーの「タッキー」が河川敷でご主人さんとフリスビーで遊んでいました。映像には収録していませんが、タッキーくんの泳ぎっぷりはなかなかのものです。