
東北のとある湯治宿で出会った看板猫たち。
宮城県大崎市の東鳴子温泉にある「いさぜん旅館」には、ノラ出身の猫たちが玄関先でお客さまをお出迎えしています。
私が初めてこの宿を訪れた2003年から10年間、一眼レフから携帯電話に至るカメラを使って撮り貯めした画像をご紹介してまいります。
〜2003年1月〜

改築前の鳴子御殿湯駅。
三角屋根側面の白く塗りつぶされている部分には旧駅名の「東鳴子駅」と書かれていました。

この駅に降り立ったのは、雪の積もる寒い日でした。
駅名板左側のアルミサッシが改札口で、扉の上部には東鳴子温泉の旅館案内が掲げてあったそうです。

「冬のローカル線紀行」と題して、東北地方を東西に走る路線を「乗り鉄」していた途中で立ち寄ったのが始まりでした。この日は只見線の会津高田から郡山、仙台を抜け、東鳴子温泉で一泊するスケジュールでした。

宿に着いてお出迎えしてくれたのは「タイガー君」でした。
玄関先に猫が座っているのを見たこの瞬間から、私のお気に入り宿になりました。

この頃、いさぜん旅館には「ノンちゃん」というヒマラヤンが長きにわたって看板猫を務めていて、一度だけその姿を見たことがあります。Webサイトで館内設備を紹介する猫のイラストはこのノンちゃんがモデルになっています。

雪晴れの朝、敷地を散歩しているのは雌の「黒駒ちゃん」。
〜2008年9月-2009年6月〜

しばらく私事多忙で旅に出る機会に恵まれない日々が続いていましたが、2006年頃から出かけられるチャンスがやってきました。夏の疲れをゆっくり取りたいと考え、ふと数年前に泊まった温泉宿を思い出し再訪。
ビデオカメラを持ち出すことが多くなり、静止画像を同時に記録したのは2008年からでした。

鳴子御殿湯駅は2004年9月に改築されました。



ハチワレの「甚内君」は2007年頃から宿に棲みつくようになりました。
ここから数年は「タイガー&甚内」をフロントやロビーで見かけることが多くなりました。
さらに2009年頃からは、アビシニアン風の毛並みが心地いい「コンコン君」が仲間入りしました。。
〜2010年5月〜

コンコン君が次第に頭角を現してきた頃、お宿の看板猫に世代交代の時期がやってきます。

つやつやした黒髪、いや毛並みが特徴だった甚内君が弱り出してしまいました。
自炊部2階で滞在している私の部屋に上がり、しばらく私の前でひと休みしていきましたが、今思えばこれが最後の挨拶だったのかもしれません。


温泉のお湯が通っているホースの上は暖かく、その上で寝ている甚内君。
甚内君はこの数週間後の6月初旬、宿から姿を消しました。

じつはタイガー君のほうが少し弱った感じがしていて、宿を訪れるたびに健康状態が気になっていました。
でもここは東鳴子界隈の元ボス猫、生まれながらの強さがありました。宿のご主人はタイガー君を定期的に動物病院へ連れて行ったそうです。
2011年3月10日。タイガー君がこの世を去った翌日、あの大震災がやってきました。
* *


2010年5月撮影。
こちらは陸羽東線のガード下〜築堤付近で見かけた黒猫。
この黒猫の顔を覚えておいてください。あとで登場してまいります。
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